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世界の果て

トーレス・デル・パイネ国立公園
(Parque Nacional Torres del Paine)



国境付近のお土産屋さん。セロ・カスティージョ。

アルゼンチンからチリへ

 フィッツ・ロイのエル・チャルテンからトーレス・デル・パイネ国立公園に向かう。エル・チャルテンはアルゼンチンだが、トーレス・デル・パイネ国立公園はチリにある。国道40号線をエル・カラファテの近くまで戻り、さらにやや遠回りをしてトーレス・デル・パイネに向かう。国境の検問所の近くに左の写真のような土産物屋さんがあった。開拓時代の面影を残していて味があるお店だが、中はいたって普通。観光ガイドパンプのようなものを買った。結構、高い買い物になった。

 パタゴニアの大地を1日中延々と走り続けてパイネの近くまで来た。バスからの風景はなぜか見飽きなかった。


トーレス・デル・パイネに向かう途中の休憩所より、ノルデンショルド湖を望む。

 途中の休憩所で。いろいろな国から来たらしいトレッカーが多く、パイネの人気の程がわかる。
  トーレス・デル・パイネは左の写真の雲の中にある。いかにもパタゴニアの秘峰といった感じで胸騒ぎがする。


ペオエ湖の中に浮かぶペオエホテルと トーレス・デル・パイネ全景。クリックで拡大。


サルトグランデの大滝。
 ペオエ湖の中に浮かぶペオエホテル。ここで2泊する。ロケーションと見晴らしはいうことなしの人気のホテル。ここからの トーレス・デル・パイネの展望は素晴らしいのひとこと。聞きしに勝る絶景であった。ペオエ湖は例によって氷河湖のエメラルドグリーン。この配色がたまらなくパイネにマッチしている。


ホテルからパイネを見る。 あの「パイネの角」の間近にまでトレッキング。クリックで拡大。

クエルノス展望台トレッキング 
地図]

 トーレス・デル・パイネTorres del Paineは「パイネの塔」と訳される。写真の左側の山々をいう。
 翌日のトレッキングは、パイネグランデ峰やクエルノス・デル・パイネ(Cuernos del Paine :パイネの角)を望む「クエルノス展望台」へのトレッキング。ペオエ湖とノルデンフェールド湖の間を、絵葉書のように美しい山並みを楽しみながら歩く、高低差もほとんどないコース。途中、水量が多く迫力のある「サルトグランデの滝」にも立ち寄る。(歩行時間往復約2時間、歩行距離約5km、高低差約10m)
 前日は強風と曇り空で、今日のトレッキングは期待薄だったが、出発時にはみるみる青空が広がってきた。


こんな風景の中ので至福のトレッキング。クリックで拡大。

 クエルノス・デル・パイネ(Cuernos del Paine :パイネの角)を間近にみるショートトレッキングである。右側の奇怪な姿の山が「パイネの角」である。変形三角の高い山がセントラル(2,600m)左のノルテ(2,400m)と右のエステ(2,260m)を従えている。これらの山を合わせて、クエルノス・デル・パイネ(Cuernos del Paine :パイネの角)という。
 パイネとは原住民テウェルチェ族の言葉で「青」という意味。「青い塔」ということになる。
 約1,200万年前に地下からマグマ(花崗岩)が隆起し、その上にあった堆積岩や粘板岩が氷河などで削られて今の姿になった。隆起する前は湖の底だったということになる。 花崗岩が白い部分、黒い岩は堆積岩や粘板岩。テウェルチェ族はパイネの山々を「神の山」として崇めてきた。フィッツ・ロイも同様で、ともに「神の山」だった。


パタゴニア原野の複雑な色模様と青い山の対比が美しい。 クリックで拡大。

 「パイネの角」の左側の山はパイネ グランデの山々でクンブル プリンシパル(3,050m)が最高峰である。ずっと雲に隠れていて、とうとう姿をみることができなかった。氷原の近い山ほど雲ができやすいようだ。
 山のすぐ麓は南極ブナの森だが、ちょっと離れると写真のような不毛の原野になる。風が強く冷涼であることが木々の生育を阻害している。この荒野もかっては森があったのだという。ある国の青年たちがキャンプ禁止地域でキャンプして火ををおこし、その火が強風にあおられて辺りの森を焼き尽くしてしまった。失われた森は何十年たっても再生してこない。残念な話である。辺りには焼け焦げた跡を残した白い木々がそのまま立っていた。


絶好の撮影ポイント、ウェーバー橋のたもとより。

グレイ湖畔トレッキング 地図]

 グレイ湖畔の散策。氷山を浮かべるグレイ湖を眼下に望む展望ポイントまで歩く。(往復約2時間、約4.5km)
  グレイ湖に向かう途中のウェーバー橋で写真タイム。エメラルドの川や湖越しに見るパイネは「青い塔」そのままで、素晴らしいの一言。青空のなか、パイネの峰々にかかる雲がここがパタゴニアであることを教えてくれる。季節は夏なのに氷河からの冷たい風が吹き付けるような厳しい風土がパタゴニア的なものをいっそう劇的にしている。日本的な優しい自然から見るとパタゴニア的なものはあまりにも異質で、魅力的である。


昼食をとったリオ・セラーノより。

 ピンゴ川の吊り橋を渡ってグレイ湖に向かう。吊り橋は同時に6人までしか渡れない。係の人がGoを出したら渡る。秘境に分け入るような気分が盛り上がる。


砂州のようになっている砂利道を強風をついて歩く。

 グレイ湖の砂州のような砂利のビーチを、強い向かい風を受けながら歩いていく。右手前は島で砂州が伸びている。


グレイ湖に浮かぶ氷山。遠くにグレイ氷河が見える。

 湖畔には、グレイ氷河からの強い風で流されてきた氷山があつこちに浮かんでいる。氷河の上は南パタゴニア氷原に続いている。夏でも冷たい風が吹き荒れているのに、季節が冬になったらこの風景はどうなってしまうのだろう。


ペオエホテルの食堂はパイネの夕暮れ。 クリックで拡大。

トーレス・デル・パイネの夕暮れ

 午後8時30分、ペオエホテルに戻って夕食。窓から見た夕焼けのパイネがあまりにも美しくて外に出る。昼間の強風は止み、パイネの峰々は見とれてしまうほど美しく光っていた。パイネの夕暮れはフィッツ・ロイの朝焼けにも勝るとも劣らない。夕暮れというには夜の9時近い時間だったが、ため息をついては、同じ写真を何枚も撮ってしまった。

 ガイドさんの話しでは、パイネはナショナルグラフィックス誌の世界のBeautiful Views 100に入っていて、最近注目されているとか。それはともかくとして、世界の山を知っているわけではないが、個人的にはパイネはフィッツ・ロイと並んで、世界の名峰&奇峰のベスト100に入ると思う。パタゴニア南部の峰々魅力は、パタゴニアという容易には人を寄せ付けない過激な気候的環境によるところが大きい。


ペオエホテルの桟橋からみたパイネ。 ドングリのようなボウシをかぶっている姿がおかしい。

 ツートンカラーの峰が印象的なクエルノス・デル・パイネ(パイネの角)。1週間あまりをかけてパイネを一周するトレッキングコースがある。いつの日か、山小屋に泊まりながら、のんびりパイネを楽しみたいものだが。
  パイネに別れを告げ、さらに南に向かう。


湖の側でのんびり散歩しているように見えるグアナコの群れ。

パイネのかわいい動物たち グアナコ


 南パタゴニアではどこへ行ってもグアナコの群れを見ることができる。 リャマの先祖ともいわれるラクダ科の可愛い動物。


野生のグアナコの群れ。考えてみれば当然ではあるが。


 グアナコと羊の群れ。ともに南パタゴニアではよく目にする。パタゴニアのヒツジは焼いて食べると癖がなくおいしい。ただし、若い羊に限るという。


チリではニャンドゥ、アルゼンチンではチョイケと呼ばれる。


 ラクダ科のグアナコ。パイネの辺りはグアナコが集団で生息している。この可愛い動物はよく見かけることができる。この他、アルマジロやスカンクなどもいるらしいが出会うことはなかった。 かのマゼランたちは、この地でアルマジロを甲羅を下にして焼いて食べたら、おいしかったという。

 リャマ。もともとパタゴニアにはリャマはいない。北のアンデスの高山からつれてこられたのではないかという。いろいろな色のリャマがいるのがおかしい。リャマの色は白が基本だが、茶や黒のブチも多い。リャマとアルパカの違いがよくわからない。同じラクダ科で交配も可能だという。なおさらわからなくなる。アルパカはほっておくと地面につくぐらい毛が伸びるらしい。アルパカはセーターやポンチョなどに使われて、羊毛より高価。リャマはペットくらいにしかならないとか。大きくなるとロバなどのように荷物の運搬にも使われる。


羊のアジの開き焼き。こんなレストランが多い。

 パタゴニアでは、骨付きマトンがおいしい。アジのひらきのように開いて、直火でじっくり焼き上げる。マトンの他、ビーフやトリやソーセージなど好きなものを指定するとよそってくれる。骨付きマトンがおすすめ。

photo by miura 2014.2
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