ロライマ山の頂上へ
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ロライマの頂上へ [地図]
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ギアナ高地南東部の台地の全景。右からロライマ・クケナン・ユルアニ・ワダカイピエポ(切り株) ・カラウリン・トラメン・イル。 |
ギアナ高地の成り立ち 2010年2月、早朝にサンタ・エレナからヘリコプターでロライマ山(写真の右端)とクケナン山(中央の山)を目指す。ギアナ高地では最高峰となるロライマ山(標高2810m)の山頂に降り立ち、散策するためである。 |
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ロライマとクケナンが間近に近づいてきた。ギアナ南東部ではロライマ山が最も面積がある。 |
先カンブリア時代である18億年前、ギアナ楯状地一帯が沈下して、そこに淡水湖(ラグーン)が形成された。そのラグーンの湖底に堆積物が沈殿し始め、そこから1億年ほどの間に、沈殿物は2000mの堆積岩となった。この堆積岩が、地質学的にローライマ層(砂岩と頁岩(けつがん))と呼ばれ、現在のギアナ高地の卓状地の主要部分となっている。 |
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テーブルマウンテンはサバンナの茶色の草原の中に緑の密林に囲まれて鎮座していた。クケナン山は2,680m、1,000mの楯状地の上に1,600mの台地がそそり立っている。 |
当時、地球の大陸はひとつの陸塊だったとと考えられている。ドイツ人探検家で気象学者だったアルフレッド・ヴェゲナーの唱えた大陸移動説にちなんで、その原始大陸は「パンゲア大陸」と呼ばれる。 |
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白い雲の帽子をかぶったクケナン山が、朝日をうけて神々しく美しい。写真をクリックすると拡大する。 |
ところが、ギアナ高地はゴンドワナ大陸が分裂する際の回転軸のような場所であったため、移動することなくとどまった。他の大陸が何度も気候変動の影響を受けたのに、この地域だけはずっと熱帯気候のまま現在に至っている。現在に残るゴンドワナ大陸、「失われた世界」だといえる。 |
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ロライマ山の頂上の様子。 2,810m、ギアナ高地で最も高いテーブルマウンテン。関野吉晴さんの測定では2,650mだった。台地の中央にブラジル・ベネズエラ・ガイアナ3国の国境がある。 |
ロライマ山の頂上に降り立つ
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ロライマ山頂へ ヘリコプターは雲の切れ目を探して着陸した。 風化し浸食を受けた奇岩 |
ロライマ山の標高は2,810mとなっているが、関野さんの測定では2,650mだった。ロライマはキアナ高地の中では解明されているほうだが、それでも標高すら正確には測られていない地域なのだ。 ロライマ山といえば、「ロストワールド」の舞台として有名である。Wikipediaに依れば次のように紹介されている。、 実際、ここで恐竜の生き残りが発見されても、テプイの生い立ちを考えれば、さもありなんと思えるだけの説得力がある。恐竜の話は、「アウヤンテプイ」のページでふれる。 |
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あたりは奇岩が立ち並んでいた。 |
頂上は、1億年の強風と豪雨が彫刻した奇妙な形の岩石群に覆われていた。ところどころに下の写真のような植物たちが群れていた。地衣類の他、日本では見たこともない植物。知識がないので名前は不明。 |
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テーブルマウンテンの上で確認されている植物は約4,000種。これは日本全体の植物の種類を超えている。しかもその75%が固有種、他にはないギアナ高地だけに生えている植物である。ガラパゴス諸島の固有種が53%であることからみても、ギアナ高地の他地域からの隔絶度がわかる。 |
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グアナ特有の植物が多いが、アフリカ大陸の植物との類似性が強く、かってひとつの大陸だったことを明かしているという。 |
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毛虫を見つけた。しきりに動き回っていた。 ロライマの台地では小動物はほとんどみられなかったが、カエルや昆虫、鳥などがいるようだ。 |
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テプイの周りの気流は不安定で、テプイにはいろんな形の雲がへばりついていた。 クリックで拡大。 |
ロライマ台地での滞在時間は20分程度の短い時間だった。ヘリコプターはロライマ山を廻りながら、隣の山のクケナン山に近づいていった。雲の切れ目から顔を出したクケナン山の端の絶壁はこの世を隔絶した美しさがあった。
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最近の調査では、テプイの上からサハラ砂漠の砂塵が大量に発見されたという。アフリカ大陸のサハラ砂漠上の大気中には絶えず大量の砂塵が舞い、熱上昇風によって吹き上げられ、それが北東貿易風や低気圧の働きで大西洋の方に流れ、それがアンデス山脈にぶつかって雷雨とともにアマゾンやギアナに降り注ぐのだそうだ。ソハラの砂塵はリンやカリウムなどの栄養素を豊富に含み、熱帯雨林や土壌の乏しいテプイの上に暮らす植物たちを養っている。(U社添乗員さんの手書き資料より) クケナンの台地には亀裂が走り、岩盤深く切れ込んでいてとても渡れそうもない。比較的平らな台地上には、石仏のような奇岩が無数に連なっていた。 |
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photo by miura 2010.3 |