「ブッダのことば」スッタニパータ 中村元 訳(岩波文庫) 第一 蛇の章 |
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8.慈しみ | |
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究極の理想に通じた人が、この平安の境地に達してなすべきことは、次のとおりである。能力あり、直く、正しく、ことばやさしく、柔和(にゅうわ)で、思い上がることのない者であらねばならぬ。 |
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足ることを知り、わずかの食物で暮し、雑務少く、生活もまた簡素であり、諸々の感官が静まり、聡明で、高ぶることなく、諸々の(ひとの)家で貪(むさぼ)ることがない。 |
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他の識者の非難を受けるような下劣な行いを、決してしてはならない。一切の生きとし生けるものは、幸福であれ、安穏であれ、安楽であれ。 |
146 |
いかなる生物生類であっても、怯(おび)えているものでも強剛なものでも、悉(ことごと)く、長いものでも、大きなものでも、中くらいのものでも、短いものでも、微細なものでも、粗大なものでも、 |
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目に見えるものでも、見えないものでも、遠くに住むものでも、近くに住むものでも、すでに生まれたものでも、これから生まれようと欲するものでも、一切の生きとし生けるものは、幸せであれ。 |
148 |
何びとも他人を欺(あざむ)いてはならない。たといどこにあっても他人を軽んじてはならない。悩まそうとして怒りの想いをいだいて互いに他人に苦痛を与えることを望んではならない。 |
149 |
あたかも、母が已が独り子を命を賭(か)けて護るように、そのように一切の生きとし生れるものどもに対しても、無量の(慈しみの)意(こころ)を起すべし。 |
150 |
また全世界に対して無量の慈しみの意を起こすべし。 |
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立ちつつも、歩みつつも、坐しつつも、臥(ふ)しつつも、眠らないでいる限りは、この(慈しみの)心づかいをしっかりとたもて。 |
152 |
諸々(もろもろ)の邪(よこし)まな見解にとらわけず、戒(いましめ)を保ち、見るはたらきを具えて、諸々の欲望に関する貪(むさぼ)りを除いた人は、決して再び母胎に宿ることがないであろう。 |