メニューへ
|
俳句徒然日記2013〜2014
|
2014年12月6日 |
アベノミ
アベノミ礼賛 いら立つ 65歳の冬
アベノミに 悲しからずや 冬烏
憲法 原発 機密保護 いきがる改憲 集団自衛権
この人が信用できない。戦前の幻想をいまだ夢見ているような人。戦後、自由と民主主義と平和主義の社会を生きてきたのではないか。日本の戦後の意味を問うていないのではないか。
経済成長主義のプロパガンダで国民の欲望をたくみにくずぐるアベノミックス。彼の見果てぬ夢は富国強兵。
哀しさは自公圧勝冬の空
前向き積極方向違いのスピート感
チベット仏教捨て去る覚悟の五体投地
標高5600カイラス巡礼ラサ・ポタラ宮
逃げるなはればれと立ち向かえ (岡本太郎)
死ぬまでははつらつげんきに生きていよう
これでいいのか来し方六十五年の冬
虚しさは何のための起業精神
六十五歳いきのるのが辛いか年の暮れ
辺境 革新者は辺境からしか現れない
|
2014年11月8日 |
22歳の総括
ふと思う。22歳の青春の総括。いつか必ず総括すると自分に誓った。頭を持ち上げては、まち眠りについてしまった青春の総括しきれない総括。
還暦過ぎていまだならず22歳の総括
(三浦君 22歳の総括 わすれたかや)
あれから四十余年長くもなし短くもなし
三枚の枯葉静かに落ちにけり
風に舞う赤い枯れ葉の夕日哉
貧しいこと純粋であること失うものがないこと
とりつかれ夢中で生きたそんな日も
枯れ枝を透して見えた11月の空
|
2014年10月18日
|
かなしさは
10月のコスモス畑の静寂は
そは万色の滝音寂し増富の秋
かなしさは生活楽しむ65歳
老夫婦孫の話もたえて秋の夕
この世の中居場所に苦しむ今朝の秋
中東に民主化の波。自由化が開くパンドラの箱。
民主と自由は血の代償を要求するのか。
自由と平和を求め、戦いを恐れず。
平穏を求めて、不穏不安を恐れず。
髪なく歯なく記憶も薄い。身体の衰えは覆うべくもない。
十月は首無し地蔵に参って大山へ
野性とは食欲惰眠に性欲とは。
|
2014年9月9日 |
ピロリ菌
老夫婦孫の話しも絶えて秋の暮れ
老人の慰みにもとどかぬ我句かな
丗の中の居場所定まらぬ秋の暮れ
ピロリ菌どうやら住みよい我胃かな
白内障こうして老いゆく眼底上膜症
夏過ぎて老人力は鈍感力
まっいいかやがて枯れ行く初時雨
職人の熱き技法われにありや
人はみな死して宇宙の塵となる
しのぶれど夏痩せにけり我が恋は (子規)
ものや思ふと人の問うまで夏痩せにけり (子規)
|
2014年6月15日
|
あやめ・しょうぶ・かきつばた
六月の我はあやめかかきつばた
花めに黄の縦帯や三渓園の花菖蒲
花のもとに網目模様はあやめ草
知っているらしい人に聞いてみたが、やはり区別は難しい。よくわからない。
はなしょうぶ足に結ばん草鞋の緒 (芭蕉)
人生七十古来稀なり (杜甫「曲江」)
辞世とはすなわち迷いなりただ死なん
水無月やはい出る白つなぎ暴走族
水無月や丸子のとろろ水っぽい
|
2014年4月29日
佐渡・両津港
|
佐渡島
老婆居り桜舞い散る佐渡島
荒海や佐渡に一人母住まう
荒海や残せし母は心病む
青春を訪ねる夢やあいあい岬
五月空光輝く越後平野
越後野や水田まばゆき五月空
心病む母と待ち侘ぶ神経内科
野球帽少年の肩に赤とんぼ
めぐりくる戦後六十九年の八一五
凄絶や路上身捨る蝉むくろ
わが心身捨る蝉にはかなわねど
空蝉の身捨つる覚悟ありやなし
レジリエンスひっぱるより巻き込む力
|
2014年4月13日
|
春バイク
春バイクおちつきのない道志道
春なれやバイクはい出す道志道
サビなくば五月のバイクあるべけれ
ジョッブズめケイタイアイホンアイパット
|
2014年3月10日
フィツロイの夜明け
|
くれくれて
梅見する数も入らぬ老いはじめ
年ふるも来るかいあれパタゴニア
人類やこらえ性なしパタゴニア
年ふるもさらに食べたしカラファテの実
梅の花丸角ばつて陽菜の顔
春きたり我執切れるか梅の花
くれくれて俳句が出ない年の暮れ
くれくれていまだ生をしらずいずくんぞ
類にたいするやさしさあり冬行くわれ
寒風にわけあり少年うずくまる
|
2014年3月9日
|
大池公園・梅園
梅の香やまためぐり来る赤開紅
梅の花角ばっている陽菜の顔
春きたり我執去りて梅の花
鹿児島・月宮殿・八重寒梅・玉牡丹・田毎の月・御所紅・緋の司・大輪緑ガク・赤開紅・一重野梅・豊後・思いのまま
|
2013月12月2日 |
年の暮れ
そこそこに気張っていこうか年の暮れ
この年はなんで越そうか孫二人
人生の時がしわよる年の暮れ
寒風に道端でうずくまる少年あり
類に対する本源的なやさしさあり冬歩く
右目のものの見え方がおかしい。ものが波打ち、ゆがんで見える。加齢もいよいよ極まるか。
5時間待ち忍にんゼミか市大病院
ゆっくりとおだやかにやわらかく
どん行の椅子温かき年の暮れ
人の世は生きるかいあれ年の暮れ
お疲れ様四十五年の仕事人生
分裂して60兆個の細胞かな
間違えず200種類の細胞に
黄シャツ着て仕事さぼりつ温泉へ
そこそこに気張っていこうか年の暮れ
人生の時がしわより年の暮れ
どん行の椅子暖かき年の暮れ
|
2013月11月30日
|
富士の峰
美ヶ原おぼろにくっきり富士が峰
冬の宿オリオンいただく富士が峰
勝負の神様は細部に宿る(岡田監督)
対局観と読み。
コンクリートジャングルをサウンドクルージング
私の憧れノー天気バイク
62歳になって駆け抜けた秋甲州路
微熱のわたし子抱く母に席譲る
としふるはわが身のような枯れ尾花
74歳のゲーテが19歳の娘に恋して求婚し、断られた。
|
2013月9月15日 |
夏の世の夢
寝苦しや夏の世の夢いつまでも(朝方まで)
朝まで続く 夏の夜の夢
この夏の夜は1時間ごとに目が覚めた。同じ夢を繰り返し繰り返し見るつらさ。
胃と腸と首筋の調子が悪い。老いがわが夏の夜を悩ませるか。
陽菜という可愛い娘でわが孫で
二人目の孫が生まれ、娘が里帰りしてきた。1か月居るという。二人目は「ひな」という女の子。30年前の娘が生まれたときに戻ったような感覚。
やればできるやらずに過ごした60余の夏
やらずに来てやればできると60余年
明日こそは明日こそはと思って生きたアスナロの木のように、
やればできるという思いでやらずに生きた60年。
この年はなんで生きよかわがイント
|
2013月8月15日
|
蝉が落ち
迷い来てありがとう妻美代子
生活感のない私が、生活感の強い美代子を選んだ、若き日。間違いではと思ったことも度々だったが、今は感謝している。ありがとう。
蝉が落ちまた蝉が落ちた8月15日
かなえたりドンデン金北大縦走
金北山いつものようにぼっとしてあり
帰省した。庭の梅の木に蝉がへばりついて鳴いている。木の下には、蝉がお腹を出していた。
こうやって短い命を終えるのか。夕方、また別の蝉が落ちていた。
ふぬけしてノンアルコールの今日の俺ら
夏の夜や唐突ひぐらし夜明け前
ひぐらしやとりみだしても夏の夢
広重の庄野白雨か今朝の雨
夏草や旅に死すとも可なりせば
行人になりたきありなし夏の朝
孫がきてかえり息子きてかえる夏休み
孫がきて嵐が過ぎけり日曜日
1mgの煙草に惑う夏の宵
若いこと、貧乏なこと、美しいこと、強いこと
富はこのすべての喪失。賢者は富まず。(蕪村)
老いてなお知力気力を振り絞れ
生きていくことが面倒くさくて秋の風
秋風やなぜか仕事がつまらない
|
2013月8月12日
|
ぼぉーとして
老人は 先無しが強みと うそぶいた夏の夜
新しい仕事に、挑戦する意欲が萎えた夏の夜。
夜の恵比寿のネオンを見て。
ぼぉーとして過ごしてしまった六十余年
63年も生きて来たのに、まだものが見えていない自分がなさけない。
下積みが長かったサラリーマン時代。私は何をやってきたのだろう。
いくつになっても相変わらず迷いが多い。撮る
朝顔やヘブンブルーのわたし色
朝顔が2つ3つと咲き出した。それが楽しみで写真にとった。今朝の青空のような花の色。
|
2013年7月16日 |
北岳登り
北岳や千五百の昇り降り
この夏はなんで生きよか残雪下り
先無しが我が強みなりやなたね空
やればできるという思いで、やらずに来てしまった。いつからか、やろうとしてもできなくなってしまっていた。アスナロの木。
どこかの青年が言っていた。
山Girl山があるから山ガール
|
2013年6月22日 |
節電の夏
エアコンはあっても使わぬ節電の夏
ボォーとして生きてしまった六十路の夏
ジュッギング身体うれしい草いきれ
瀬谷の森草いきれの中駆け抜ける
10kmをスロージョッギングする。6月の風が心地よい。身体がうれしい悲鳴を上げる。
ところどころ、むっとする草いきれ。ああこれが夏の日のジョッギング。
梅雨の夜に夫婦でつっつくわらびもち
特売のわらびもち。外はしとしと梅雨の夜。
特に仲が良いわけではないが、ひとつの器を二人でつっつきながら食べる。
ほこらしくノート操る若者に六月の風
電車の中で、若者がノートパソコンを開いた。
さっそうとしてカッコいいと思う。
こころざしの低さに惑う夏の朝
|
2013年6月15日 |
風邪気味で
風邪なのに軟弱罵倒の冬の朝
風邪気味で体調が悪い。朝が起きられない。
「ズルするんじゃないよ」と罵倒する女房。
かりかりと凍る夜道に気は弱し
凍てつく夜道に、氷を踏む心地よい足音。
しなし、仕事に行き詰まり、気弱な私。
木枯らしの野辺にも逝かん名無し草
好きなよう生きていこうか梅の花
梅の花を見ていたら、もっと気楽に生きてもよいのではとふっと思った。もう年なのだから、仕方がない。
春うらら一日遅れのホワイトデー
春うらら届け忘れたチョコレート
バレンタインデーのお返しのホワイトデー。会社組織の中では女子社員との関係を決定づける大事な行事である。その日を一日読み違えてしまった。
まわらない頭しごいて我行かん
ぼぉーとして蓮田久喜行き春電車
首筋が固まってしまっていつもの梅雨
老人の強み先がないこととうそぶいた梅雨の夜
その人の名前も出ずに面影かな
|
2013年6月
|
ジョッギング
春の日に ただひたすらに ジョッギング
今年から始めたジョッギンク゛。昔の感覚を思い出した。
だが何かが違う。体が重く、きつい。
それでも、若き日の思いをもう一度。
バカみたいにじょっぐる肩に散る桜
たかだかのされど人生梅雨の朝
金曜日うつむき歩く 梅雨の朝
紫陽花やブルーヘブンの空の色
紫陽花や宇宙の中の小宇宙
紫陽花や重ねた親不孝悔恨色
|
2013年5月24日
|
おーい空よ鳥よ何のために生きているんだよー
誇らしくノート操る若者に五月の風
能力は報酬と相関しない。同様に努力は報酬と相関しない。
「人は幸せを感じさせてくれるものにお金を払う」
老武者の大根あなどる若菜かな (蕪村)
こんにゃくにけふは売勝つ若菜哉 (芭蕉)
|
2013年5月6日
|
関口芭蕉庵
連休に、関口芭蕉庵を訪ねる。ほぼ予想どおり。
神田川沿いの分かりにくい場所にあった。胸突坂。
句をわすれてしまった。
日本橋で間借りしていた芭蕉が神田上水の浚渫工事を請け負った。
芭蕉は当時「桃青」という俳号を使っていた。
桃青が、日本橋から工事現場に通うにはやや遠い。関口辺りに仮住まいしていたのではないか。それがここ関口芭蕉庵。
写真が飾ってあった。早稲田の青々とした田圃の向こうに芭蕉堂が写っていた。
面影は早稲の向こうの芭蕉堂
芭蕉堂面影遠し神田川
|
2013月3月3日
|
梅見酒
梅が香に鳥寄り来たり花見寿司
梅が香に小鳥寄り来るやおこわと酒
寒い日に、近くの公園に梅見に出た。
梅見弁当を開いていたら、小鳥が寄ってきた。
白梅やつれないそぶりのつぼみかな
梅見にはちと早かったようだ。
曇天の寒い空に、梅見もいいものだと思ってやってきた。
白梅はつれなくもつぼみだった。
寒空に鼻水まじりの梅見かな
梅見ワインで景気をつけたが、やはり寒い。
帰り道、鼻水が止まらない。こんな日もある。
春の日やただひたすらに走る人
ボォーとして蓮田久喜行春電車
|
2013月2月16〜28日
|
インドの旅
やさしさやムンバイの宿の下弦の月
ベナレスのきわどいバスとガンジスの日の出
朝ぼらけ人焼くけぶりかガンジス川
牛流れ煩悩凡夫の人流れ
牛流れ人も流れてガンジス川
やさしさの万物に及ぶかインドの民
生き物へやさしさ至りて慟哭す
やさしさのいたりて魂を悩ませるか
インドにて無明我執の我を知れ
インドにて無明執着の我句知れ
一匹のハエがつきまとってサーンチー
トイレ出てインド風味の香りかな
悲しさは草食う牛にゴミ食う牛
悲しさはゴミあさる子らにゴミ食う牛
悲しさはゴミ食う牛とゴミ拾う子らと
混沌を飲んで沈むかシャイプールの夕日
農夫の背に赤き夕日のやさしさは
暗き疲労と貧しい食卓
わが夢は野を越え山越え天竺へ
ヒンドゥーはジャイナ仏教イスラム教
バツイチ夫婦のドラマチックインド旅
横寝して人が生きていけるなら
横寝して人は解脱できるなら
うらやましやりたいほうだいカジュラホ神
|
2013月2月10日 |
最後の一句
元日や我一人の大山参り
西丹沢夏キャンプ場に雪がふる
1月、西丹沢・檜ぼら丸に登る。粉雪がちらほらと降ってきた。帰りのバスの車窓から見えた、冬がれたキャンプ場が哀れ深くて。
俳諧は現実逃避か老い道楽
如月の難行苦行のこの一句
静かな朝無精の阿弥陀仏窓の雪
冬の雨背負うたものをふり捨てる
東名に長い影伸ばして冬の旅
小春日に走っても詫びるバイク旅
カリカリと凍る夜道に気は弱く
凍てつく夜道人間に砕けよわが魂
木枯らしの野辺に逝かん名無し草
まどろみの車窓舞いゆくぼたん雪
回らない頭しごいてわれ行かん
春うらら一日遅れのホワイトデー
春うらら届け忘れたチョコレート
2月6日、雪が残っていた。
停まりながら走る電車に、ついまどろむ。
ふと見た車窓に春の雪が舞っていた。
私の青春は何だったのか。本を読んでも、ほとんど何も残っていない。解答のない問いだけ繰り返して、人はなぜ生きているのか。人生は何だったのか。自分とは何か。
逝くものは斯くの如きか、昼夜をおかず (孔子)
いまだ生を知らず、いずくんぞ死を知らず (孔子)
|
2013月01月11日 |
ミカン三箱
元日に大山詣での侘び歩き
静かな朝いつもの般若心経横浜の雪
俳諧は現実逃避か老い道楽
日曜日 三食デザート ミカンだけ
ミカンを一箱もらった。小粒だがおいしかった。別の人からまたミカン一箱をもらった。我が家のデザートは、なくなるまでミカン二箱。
風邪気味なのに 軟弱罵倒の 冬の朝
カリカリと凍れる夜道に気は弱し
やや熱があり、寒そうな気がして、床を出れない私に、家内が冷たい声を投げかける。容赦なく、「ズルして会社さぼるんじゃないよ」。
雨あがり青空映す水たまり
雨上がり水たまりに映った空の青
雨上がりの朝、路傍の水溜りに写った空の青さが美しくて。
楽天がわが持ち味と仕事に向かう
仕事での行き詰まりも多い。行悩んでいて、ふっと思い立った。
私は生来の楽天家。仕事もなんとかなるさと、思い定めた。。
前年、 11月港みらい小ホールにて、
家内が合唱団にてアベマリア賛歌を歌えり
続いて、グレゴリオ・サンタマリア賛歌を歌えり。
この生は私のものといえるか無言歌
|
|
|
photo by miura 2014.12
|
|