天和元年秋、1681年、芭蕉38歳。
深川の芭蕉庵に隠棲してしばらくたってからの作。 月を眺めて詫び、わが身の孤独を詫び、才能の乏しきを侘び、問う人があれば侘びているよとこたえんとすれど問う人もいない。 月を見て詫びる月侘斎、大いに詫びて住むがよい、粗末な奈良茶飯を食らって歌う歌も、空の月のように澄みわたれ。我が心もそのように澄んでほしいものだ。