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学力向上を支えるもの

2005年11月 三浦@イント

−−学力向上のための意識調査と学習方法の改善のために−−


1.なぜ学力向上な
のか

2.学習意欲に関する
こと

3.効果のある学習法

 

 

 

1.なぜ学力向上なのか

日本の子どもたちの学力は、国際的に見て成績は上位にあるものの、PISA調査の結果から次のような問題点も指摘されている。
 (1)読解力、判断力や表現力が十分に身に付いていないこと
 (2)勉強が好きだと思う子どもが少ないなど、学習意欲が高くないこと
 (3)学校の授業以外の勉強時間が少ないこと
学習習慣が十分身に付いていないこと、学習意欲が低く動機付けも不十分などの点で課題が指摘されているほか、学力に関連して、自然体験・生活体験・社会体験など子どもたちの学びを支える体験が不足し、人やものと関わる力が低下しているなどの課題が明らかになっている。そのため、次のような授業と指導の方針が提案されている。 (文科省「学力向上アクションプラン」より)

 ・揺るぎない基礎・基本
 ・思考力・表現力・課題解決能力
 ・生涯にわたって学び続ける意欲
 ・得意分野の伸張
 ・旺盛な知的好奇心、探究心

学力の向上は、生徒の学習努力の成果だが、学力は広義にとらえると「自ら学び自ら考える」力などの「生きる力」の育成ということになる。「生きる力的学力」と「基礎的・基本的な内容の確実な定着」とは対立する項目ではない。「児童生徒に生きる力をはぐくむことを目指し、自ら学び自ら考える力の育成を図るとともに、基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り、個性を生かす教育の充実に努めることを重視する」(学習指導要領総則「教育課程編成の一般方針」)とある。つまり、「自ら学び自ら考える力」と「基礎的・基本的な内容の確実な定着」を図ることで「生きる力」=広義の学力を育もうとしているといえる。
また、「確かな学力とは、知識や技能はもちろんのこと、これに加えて、学ぶ意欲や自分で課題を見付け、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題解決する資質や能力等まで含めたもの。」(文部科学省サイト)とあり、ここでは「確かな学力」として、「知識・技能の学習」と「学習意欲などの動機づけ」と「問題解決学習」3つの要素を上げている。

やや図式的になるが、「生きる力」=「教科的学力」+「学習意欲」+「自ら学び自ら考える力」(問題解決学習)ということになる。
目指すべき学力を「生きる力」として、それを実現するために「基礎的・基本的な内容の確実な定着」と「自ら学び自ら考える力など」の2つを図る。とりわけ「基礎的・基本的な内容の確実な定着」と「自ら学び自ら考える力など」の2つの力は一方が高ければ他方も高く、一方が低ければ他方も低いという正の相関関係にあり、因果関係は証明されていないが、総合的学力を補い合う関係にあるといわれる。

生徒の「自ら学び自ら考える力など」の学力の現状はどうなのか。筆者の私見では、「生活習慣」「学習習慣」「学習意欲・関心」「学習方法・技術」「心身の健康」などの学習準備的なカテゴリーと現在の教科的学力との相関関係の帰納的な調査から、学力向上に着実に結びつく指導上の実効的な技術や資料やアドバイスが析出される必要があるのではないか、と考える。

現実的・実践的には「3つの学力」があるといわれる。それらは別のものではなく実は学力の実態的な構造をもっている。
(1)ペーパーテストで測定しやすい知識・理解・技能。旧学力という表現もある。学力の基礎・基本とも言われる。
(2)ペーパーテストで測定しにくい思考力・文章読解力・論述表現力・批判的思考・課題解決力・表現力。「見えにくい学力」・新しい学力・活用的学力という表現もある。
(3)学ぶ力としての学力(広義の学力)
自発的な学習意欲・知的好奇心。学習を遂行するための計画・方法・集中・持続の力。教えあい・話し合いしながら学んでいくコミュニケーション力など、学力と学習活動を支える力にはさまざまなものがある。生活習慣や学習習慣も広い意味の学力に含めることもできるだろう。
この3つの学力は、相互に排他的なものではない。 相互に関連しながらも図式化すれば次のような構造が考えられる。この関係は固定的なものではなく、ラセン的な発展的循環の関係にあると考えられる。ラセン的発展関係だから上下関係や出発点・終点という関係はない。それぞれがお互いに原因であり結果であるという関係になる。「生きる力」や「確かな学力」はこれら総体をさしていると考えられる。

見えにくい学力
思考力・文章読解力・論述力・批判的思考力・
課題解決力・表現力・活用的能力
測定しやすい学力
教科の基礎・基本、 知識・理解・技能
広い意味の学力(学力をささえるもの)
「学ぶ力」・学習意欲・知的好奇心・コミュニケーション・持続力・集中力・生活習慣・学習習慣など

向上すべき「学力」をどのように考えればよいのだろうか。今、期待されている学力とは何だろうか、これから将来にわたって期待される学力とは何だろうか。
選抜試験で要求される学力は多様であるが、単に知識・理解や技術で解答できる出題は少なくなり、思考力や問題解決力や読解力・表現力、発展的応用的な学力=活用的学力が要求される時代になってきている。学力検査の出題傾向にも新しい学力を要求する出題がふえている。
いずれにしても、従来の学力では対応しきれず、教科的学力の基礎基本の上に「生きる力」的な総合的な学力を、いや「生きる力」的学力の上に教科的学力をというべきかもしれないが、そのような確かな学力をしっかりと形成していく必要がある。

広義の学力を支えるもの)として、生徒の学習・能力的傾向性の他、家庭環境、特に経済的要素・文化度なども大きな要因となって生徒の学力に影響を与えていることは踏まえておく必要がある。そして学校教育の場では、学力の底上げを図るために、生徒の社会的・経済的な格差を帳消しにするような学習環境の整備・充実が必要といわれている。

筆者は、教育の研究者でも専門家でもない。システム開発の面から教育サービス業に携わる者である。狭義の学力ではなく、広義の学力として子供たちの環境的・習慣的な背景のようなもの、学力向上を支える技術・方法のようなものがあると思い、それらに焦点を合わせて「学力の向上」を考えてみた。以下は、一定程度の客観性と科学性があると思われる実験結果や意識調査結果と、筆者が集めた事例や方法と少ない塾講師経験からいえることをまためてみたものである。参考になれば幸いである。

学力向上要因(学習意識調査のチェック項目)の試案

 

2.学習習慣・学習意欲に関すること

(1)健康と生活習慣
学習効果を上げるためには、身体的健康の維持・増進を図ることが大事である。そのしつけでは、次の点に注意する。
  ・規律正しい生活をする。
  ・適度に運動する。
  ・栄養を十分にとる。
  ・睡眠を十分にとる。
夜ふかし、朝寝坊で、朝食もとらないで登校するようでは、学習の能率は上がらない。このことはだれでも知っているが、家庭によっては実行が難しい。家庭との連携による学習環境の整備が必要である。
学習を遂行するにあたって、生徒の健康状態を十分に考える。身体が弱い、歯が痛い、胃腸の調子が悪い、疲れているなどのときには、学習に集中できない。身体だけでなく心やメンタルな分野でのケアも大切である。

(2)「自発性、自主性」を伸ばす
学習は子どもが自分から進んで、自分の力で進めていくとき、その効果が上がるが、このような自発的、自主的な学習は意識的に努力しないと身につかない。そのためには、日常生活の場で、何事にも元気よく、前向きに取り組む姿勢が大切。積極的に取組み、身の回りのことも自分でできるようにすること。「自ら学ぶ」という積極的な態度をみにつけるようにする。
「自発性、自主性」は、「動機づけ」に依存する部分が大きい。

(3)「自己効力感」「成功感」を味わわせる。
子どもの能力に合った学習をさせれぱ、子ども自身「よくできた」という成功感、満足感をもつことができ、「自分もやればできる」といった自信(有能感・効力感)もつき、次にもやってみようという意欲も出てくる。難しい課題にチャレンジしてそれをやり遂げた時の自己効力感は、さらに大きな効果をもつ。
日々の努力の積み重ねで必ず達成できるという「前向きな姿勢」。自分も他人も受け入れることができる「自己肯定感」。努力を積み重ねれば「達成できる」「成功する」という体験を大切にする。自分の能力というより、努力の積み重ねで成功したという達成感がよい。

(4)「集中力・注意力」を伸ばす。
家庭で予習、復習をするときにも、学校で授業を受けるときにも注意を集中することが大事。「落ちついて、集中して勉強する」ことは、学習の基本的な姿勢である。これは子供により、性格的なものの影響が大きい。反省が多いことだが、落ち着きのない子供は学習も難しい。だが、子どもは年齢とともに変わって変わっていく。

(5)意図的な「努力」をうながす。
本人が「努力して注意を集中」することも必要である。教育では、子どもがいやだと思うことでも学習させなければならないこともある。したがって、困難なことでも、興味のないことでも、本人が努力して注意を集中するよう指導することも必要である。やり遂げようとする意志の強さも大切。

(6)「根気強さ」を養う。
自分のやり始めたことは最後までやりぬく。難しいことでも、ねばり強く努力するといった根気強さは、学習にとって基本的な条件である。だが人は、目的がないと根気強く努力することはできない。学習の目的を子供たちが納得して目指そうとする意志を持つことが前提のなるだろう。
自分の欲求やわがままを押え、最後までやりぬく力は「自己統制力」である。自己統制力を養うためには、明確な目的とともに、規律正しい生活をすることが大事である。起床、登校、食事、入浴、就寝、など予定どおりにきちんとさせる。

(7)「社会性」を養う。
学校の学習は、学級という集団の中で行われる。社会性のある子どもは、集団生活にうまく適応し、学習もうまくいく。一人でやる学習より、助け合い、教え合いながらの学習は効果が大きいといわれている。
社会性の発達していない子どもは、不適応をおこし、学習の能率も上がらない。社会性を育てるためには、相手の立場を考えるようにして、わがままを押え、また集団の規則を尊重し、順守するように指導する。 コミュニケーション力ともいわれるが、自分の立場や利益だけでなく、相手や他の人の立場や利害や感情に気を配れるようになることがコミュニケーションの前提である。同じ人間・人格として、相手に対して敬意の意識を持つこと。

(8)性格的なもの
学習の基本的なしつけでは、性格的なものにも関係してくる。頭はよくても、意志が弱かったり、消極的であったり、のんきすぎたり、注意が散漫であったりすると、なかなかよい成績はとれない。根気のない子ども、気が小さくて緊張しやすい子ども、不安の強すぎる子ども、競争心が強すぎてあせる子ども、社会性がなくて人見知りする子どもなども、学習の能率が上がらない。他の人との良好な人間関係を築けることが必要なのだが。

(9)学習への「動機付け」
現在の学習は、将来の自分のためという自覚。
現在の学習は、将来の自己実現・自由な選択のための前提になるという自覚。
自分の人生における幸せと、自由で民主的な社会の構成員になるために、学習するという気概。
当然、資本主義社会であるから、お金を儲けたい、よい自動車に乗りたい、父母や家族に良い暮らしをさせてあげたい、社会的な名声や地位を得たい等の人間的な欲求も一概に否定されるべきものではない。むしろ、現実的な欲求のほうが、学習の動機付けとして強いことのほうが多い。個人の自由な欲求は、他人の自由を尊重し承認する限り、自由である。
欲求や希望の中には次のようなものもある。それでよいのだと思う。
医者になって苦しんでいる人を助けたい、福祉に厚い社会にしたい、家業を継ぎたい、高度医療を安く提供したい、世界の貧困者を助けたい、環境にやさしいエネルギーを考えたい、人々の暮らしや産業の役立つ発明をしたい、ノーベル賞をとりたい、おいしい米や野菜をつくりたい、夢のある建物を造りたい。

人は、遠い将来の動機より、目先の利益を選ぶことも多い。子供たちにとってはなおさらである。1週間に1冊本を読んだら、宿題をきちんとやったら、1時間勉強をしたら、褒美をあげるといった、眼前ニンジン型の学習動議づけも、効果はある。

(10)内発・外発の「学習意欲」
学習することの目的や動機があれば、学習意欲も湧いてくる。
<内発的なもの>
充実志向 学習自体が楽しい。知的好奇心・探究心。
訓練志向 思考力・判断力などを鍛えるため。
実用志向 仕事や生活に生かすため。

<外発的なもの>
関係志向 他人につられて。
自尊志向 プライドや競争心から。あの人には負けたくない。
賞賛志向 よい成績をとって褒められたい。報償を得たい。

 

 

3.効果のある学習方法・技術

向上すべき学力とは何か。
この問いはさておくとして、効果があると考えられる、できる限り実践的な学習法を集めてみた。いわゆる「新しい学力」よりも、知識・理解を中心とした「旧学力」(見えやすい学力)に多く関わると考えられる。

(1)学習することについて考える
「学習する」ということについていろいろな角度から考えること。高校以上に有効か。
「どのようなやり方が有効か」、「課題に取り組む方法が有効か」どうか十分考え、「自分の学習の仕方や効果や結果」について、反省的に考える姿勢をもつこと。
学習について考えるということは、その目的や手段や方法などやそれに関わる自分について考えることになり、学習意欲や効率的で効果のある学習法に対する工夫も出てくる。
だが、学習について考える際、「自分にとってどういう意味があるのか」「将来何のためになるのか」「どういう知識・技能・能力にかかわるのか」等の抽象的な問いを立てないほうがよい。どういう意味があるか「学習」してみないとわからないことも多い。「学習」する前から効果・効用がはっきりしていることは、むしろ少ない。

(2)「現在の学力」を多面的に知ること
自分の学習状態についての客観的な理解。学力調査テストで現在までの学力到達度を、単元内容だけでなく、全教科の学力観点からをも多面的に分析し現在の達成レベルを理解する。
学力向上のための方略を練る。得意分野をのばし、弱点を埋める学習をする。
個人の「学習カルテ」の作成と活用を。医者にとっての患者のカルテのように学習状態の診断と処方の記録、達成の程度と指導の記録が教育の場でも必要ではないか。

(3)「読解力」と「表現力」をつける
文章や設問の意味を正しく正確に理解できるかどうか。出題の意図を正確に理解できる国語力が必要。「読解力」はすべての学習の前提的な学力。
本を読むこと。自分自身や人間や社会について観察し理解し、興味のあるテーマについては、探求していくようにすること。また、自然や普段の生活や社会・経済・政治についても、新聞やテレビなどを通して、その仕組みや現状について興味・関心を持ち、考えるようにする。
考えたことは、文章にして表現すること。正確な文章表現の技術は必須条件である。「読解力」があっても、それについての自分が考えたり感じたことを正確に表現できる「論述力」や「表現力」がないと、テストではよい点をとることはできない。

(4)受験勉強は、80%の人が人生に役立つと答えている
受験勉強を一生懸命に頑張ることは、その人の人生にとって決してマイナスにはならない。多くの人が、過度の競争を戒めながらも、受験勉強の意義を評価している。
その理由としてトップに挙げられているのは(複数回答)、
 「やり遂げることで、自信になる」で55% 、あとは、「こつこつ努力することを覚える」「知識が身に付く」など。

(5)受験を乗り切る現実的なコツ
ある調査では、次のような項目があげられている。
自分なりの現実的なコツをつかむこと。
 「決めたスケジュールを守る」   49%
 「短時間に集中して勉強する」  48%
 「合格後の楽しみを思い浮かべる」34%
 「好きな科目から勉強する」     31%

(6)「百マス計算」的な学習
努力と忍耐と根性主義の学習法に似ているかもしれない。有効性はみとめながらも、生徒や多くの教師は「百マス計算」に興味を示さない。理由は、単純に、面白くないから。楽しく勉強する方法でないと長続きしない。だが、一部の生徒には有効性を発揮するのも事実。
面白くない苦行のような学習でも、ゲーム的な要素や先生の指導の工夫により、それなりに効果を発揮するということもある。

(7)ノートのとり方を工夫する
勉強の仕方やノートのとり方について、自分で楽しみながらいろいろ工夫してみる。

 @黒板を写すだけでなく、先生が話すなかで重要な点ももれなく書き込む。
  先生の授業の内容理解がおろそかにならないようにする。
  後で、まとめなおす時も授業中の記述をいかすようにする。
 A解答を導くための考え方や途中の式もきちんと書く。
  結果よりも、考え方や理論の組み立てや中間の計算などが大切なことも多い。
 B正しい日本語できちんとした文章を書く。
  できるだけ、きれいにきちっと書くこと。
  後で見直して、何が書いてあるかわからないようでは問題外。
 C社会科などで、色を使い分け、後で見直してもよいように楽しく美しく。
  自己満足や達成感、エンジョイ勉強力。
 Dノート一冊を最後まできれいに使い切る。
 Eまとめることや問題をきれいに書いたり、コピーして貼り付けたり、地図や資料を切り張りしてまとめる。
  図や資料や写真、関係図・年表・系統図・地図・グラフなどきれいにまとめる。色鉛筆やマーカーも効果的。複雑な関係にどを因果関係や上下関係や左右の関係などを考えながら図に表す。
要は、理解したり記憶したりするのを助けるためのもの。後から見直して、解りやすくまとめること。

(8)テスト結果で、間違えた問題は必ず解き直す
十分にテストの準備勉強をし、その受け方、答え方、返却答案の生かし方などについてもよい習慣をつける。誤答の問題はそのままにせず、必ず解き直して理解しておく。わからなかったら、先生に聞くこと。

テストは集中して取り組まなければならないのでしんどいが、記憶の定着方法としてテストはきわめて有効な学習方法である。
したがって テストの結果をそのままにせず、自分の弱点ほ克服しておくことで、理解と記憶がいっそう定着することになる。満点なら問題ないが、間違えた問題があれば、必ず解き直して、なぜ間違えたか完全に理解しておく。テストに出題されるような問題は、それなりの意味があり、大変重要である。解き直しをしないことは、理解が不十分な箇所をそのままにしておくことであり、テストに向かう際の自分の理解や記憶の不十分さに眼をつむることになる。

(9)教科により、勉強の仕方を工夫する
教科には、それぞれ特有の勉強法がある。
国語であれば、1か月に数冊の本を必ず読み、自分で感想文をまとめるとか、社会科や理科は、絵や図に描いてみて物事を関連付けし構造化して理解するとか。数学はゲームだと思って攻略法を考えるとか。
「学習習慣」を身に付ける場合に、親や兄弟、さらには友人、教師のやり方を模倣することも効果的。勉強は、今だけのことではなく将来にわたって大事なことだと自覚し、自分から努力して習慣を付けること。
他人の勉強の成功話も参考にはなるが、そのとおりにやって自分に合うかどうかは別。自分に合った効果の上がる勉強法は最終的には自分で工夫して見つけ出すしかない。

(10)予習をしっかりやり、授業で完全理解
予習なしで、授業だけで理解しようとすることは不可能と考えたほうがよい。必ず事前に予習し、授業の準備をし、授業に積極的に参加すること。復習は、理解したことの定着をはかるためのもの。「予習→授業→復習」の学習サイクルをつくるようにすること。

(11)学習計画を練って、それを最適化する
1週間・1ヶ月の学習計画をしっかりつくる。できれば、学期ごとの計画のもとに 1週間・1ヶ月の計画をたてるようにする。
家庭学習においては、毎日、同じ時間に同じ場所で、教科も決めて学習するようにする。毎日少しずつ規則的に学習を続けること。
1週間の学習タイムテーブルをしっかり作って実行すること。何度でも最適化するため作りなおすこと。
同じ学習を長時間続けないで、適度に教科や内容を変えていく。
声に出して読んだり、書いたり、暗記したり、実験したり、作業をしたり、いろいろ興味がもてるよう工夫すると記憶に効果がある。

(12)記憶の仕方の工夫
小学校での勉強は、丸暗記ですむことが多く、また小学生は丸暗記が得意。
中学生・高校生になると、暗記すべき量も増え、単純な暗記では対応できない。
知識と知識を関連づけたり、原因と結果の因果関係を考えたり、学習した内容の再構築が必要になる。習得した知識と新しい知識を関連づけながら、知識を構成しながら進めていくような学習が必要になる。
また、最近の能科学の研究では、年度や数字や記号などの記憶には、他のことがらに関連付けて覚えるのが効果的ということ。こじつけでもよいから覚えられるような工夫も必要。
ノートに繰り返し書くだけでなく、期間をおいてまとめなおしたり、声に出したりとか、音を聞いたりとか、身体のいろいろな機能を使って覚えるようにするのもよい。

(13)勉強をどこでするか
自分の部屋で一人で集中して勉強するという方法が基本ではあるが、必ずしもベストなわけではない。家族のいる居間で集中して勉強したり、家族と話ながら勉強したりすると、返って能率が上がるということもある。また、友人やグループで教えあいながら勉強するのも効果的である。
勉強部屋だけでなく、居間や電車・バスや図書館・公園など、いろいろな場所で勉強してみる。身を置いて勉強する環境が違うだけでより記憶しやすくなり、思い出しやすくなるという研究もある。


学習意識調査のチェック項目